私は学生の間に感銘を受けた同級生が3、4人います。
その中の1人目といって差し支えないのが小1の同級生、リュウヘイくんです。
元々、特に目立った印象もなく、あまり関わりはありませんでした。
ある体育の時間、授業の導入かなにかで先生が
「たとえば、”体育館を全力で10周する”なんてとてもできませんから…」
と説明している最中にリュウヘイくんが
「そのくらい簡単じゃん!」と口を挟みました。
特に印象のなかったリュウヘイくんがそんなことを言い出したのに驚いたし、
そもそも怖い先生というのもあって、異議を唱えるようなことができることにもびっくりしました。
先生は途中で説明をやめ、
「おう、じゃあ今からやってみろ!」
とリュウヘイくんを立たせます。
「他にもできると思う奴はやってみろ!」と参加者を募り、
男子はバカなので、結局私を含めほとんどの男子が参加します。
今思うと他にも参加者を募っているあたり、先生はリュウヘイくんを晒しものにするつもりはさらさらなかったことは分かりますね。
そんなに大きな体育館ではありませんでしたが、全力で10周なんてできるわけないのは当時の私でも理解していました。
最初から8、9割のスピードで走り、とにかく1番にゴールすることを目指して走りました。
次々とゴールをしていく中、肝心のリュウヘイはというとまだ走っていました。
結局、リュウヘイくんはほぼドベの位置でへとへとになりながらもなんとかゴール。
先生は拍手して、「俺が間違っていた」とみんなの頑張りを讃えました。
私やその他大勢は最初から力をセーブして走りましたが、リュウヘイくんは間違いなく最初から100%で走っていました。
だからこそ、体力が途中で尽きてしまい最後にゴールをした。
本人はおそらく先生の言っていた「長い距離を全力疾走はできない」ことを痛感したでしょう。
一方で、当時の私は最初から全力で走らなかった自分が恥ずかしくなりました。
「最初から全力出さないならやるなよ」と。
本人が「勢いで一度言った手前、有言実行した」のか、「本気でできると思っていた」のかは定かではありません。
後者なら若干おバカは否めないかもしれないですが…。
いずれにせよ、最初から全力で走るリュウヘイくんの姿は忘れられません。