「今晩は何にしますか?」
「ん、そうめんでいい」
「…そうめん『で』いいって何?」
ガシャーン、パリーン、ギャーギャー
助詞1コまで正確に伝えたい in English
ご飯を作ってくれる人への感謝が足りないエピソードとして定式化しつつある、「そうめんでいい」。
「そうめん『が』いい」なら怒られることはなかったでしょう。
日本語はたった1文字でニュアンスが全然変わってしまいますね。
ところで、例えばこの1文字の差って英語で表現するとどうなるのか?
これをテーマにした動画が、dmm英会話から出ていました。
動画ではこのように紹介されていました。
「そうめんがいい」→ “Somen sounds good.”
「そうめんでいい」→ ”Somen is good enough.”
DMM 英会話
動画はこのフレーズを紹介しただけで終わりましたが、結構学ぶべきことは多いような気がします。
訳しやすい日本語にしよう
まずは格助詞の「で」に注目してみましょう。
11.ほぼ十分であることやある程度の満足の気持ちなどを表す。また、不十分、不満足を表す。
・今日はお茶だけでいい。
・それで問題ない。
・その程度の語学力で交渉できない。
後ろに「いい」「ない」がセットでついてくるパターンがほとんどかと思われます。
十分である、満足であることを伝えたい時に使用されるわけですね。
そうなると、動画に出てきた”good enough”は的を得ている表現と言えるでしょう。
和文英訳をする際に「英訳しやすい日本語に置き換える」のは非常に重要です。
今回ですと「がいい」→「で十分だ」と変換しました。
この変換、その場でパッとできれば苦労しないのですが、うまく思いつかないこともしばしば。
私は時間短縮のためにこの変換作業をネットで調べたわけですが、試験ではそうはいきませんね。
変換したい日本語が思い浮かばない場合、
自分で例文を2、3個作りニュアンスの共通点を見出すのがおすすめです。
「今日はお茶だけでいい」
「そうめんでいい」
この2つの文が伝えたいニュアンスの共通点を考えるわけです。
実際「十分である」というニュアンスが浮かび上がるかはその人次第ですが、1つの文から抽出するよりも精度が上がります。
モノ・コトを主語にする勇気
次は「そうめんがいい」の方に注目してみましょう。
そもそもなんですが、高校生に英訳させたらほとんどの場合
“I want to eat Somen.”
になる気がします。
…別にこれが間違いとは思いません。
ただ、せっかくですから別のパターンも学んでみましょう。
“I want to eat Somen.”を逆に日本語にした場合「私はそうめんが食べたい」になりますね。
ところで、「私は」って情報は必要でしょうか。
正直、なくても伝わります。
一番伝えたい情報は「そうめん」です。
というわけで、そうめんを主語にしてみましょう。
→"Somen sounds good."
日本語にすると、それこそ「そうめんがいいな」とか。
英作文に慣れていないと、何が何でも人を主語にしたくなります。
気持ちはめちゃくちゃわかるのですが、一回だけ「人じゃない主語」を受け入れてみましょう。
表現の幅がぐんと広がり、ニュアンスが正確に伝えられるだけでなく英訳そのものが楽になったりします。
そもそもの話
「そうめんでいい」が、一概に思いやりにかけた言葉だとは思いません。
今日は負担をかけたくないから手間の少ない料理で十分だよ、というメッセージがつたわります。
ただ、このメッセージは表に出さない方が粋なんでしょうね。
…私も書いていてよくわからなくなってきました。
「そうめんでいい」ってブチギレするほどなのか?
たぶん、声のトーンとかニュアンスが悪かったんでしょう。