私は大学院で感性工学なるものを研究していました。
感性工学とはヒトの感性に寄り添った設計に関する学問です。
高級感のあるペンの重み、デジタルカメラの心地よいシャッター音、エレベータの加減速などなど。
いわゆる”使い心地”にと密着した分野になります。
もちろん、モノに一番もとめられる要素は性能です。
インクの出が悪いペンや、画質の悪いデジカメはユーザに受け入れられません。
しかし、繰り返し使ってもらったり自社の新商品を追いかけてもらったり。
ファンを獲得するために感性工学はとても重要な分野となります。
私は感性工学の中でも、とりわけ先入観が実体験に与える影響について研究していました。
その研究では
”「予想と実際の違いの度合い」によって利用者が感じる快感・不快感”
を重要な要素の一つとして扱っていました。
例えば、
・予想と実際が全く同じ → 快も不快もない(無、退屈)
・予想と実際が全然違う→ 不快(驚き、白ける)
というデータが先行研究で得られています。
じゃあ、快感を得るのはどういう場合なのか?
それは、予想と実際がちょっと違った時です。
少し予想外のことが起こった時、人は新鮮味を感じたり本来持つ探求心が刺激され快を覚えます。
「この”少し”って具体的にどれくらいだよ!」
ということで、”予想と実際の違い”と”快不快”の関係性を数値化していたのが私の研究です。
サプライズで大切なことは
「ちょっと驚かせること」です。
あんまりビックリさせると大概の場合は不快感を覚えています(表面上喜んでくれるとは思いますけどね)。
フラッシュモブがしばしば嫌厭されるのも納得ですね。