幹部候補生学校にいた頃、「幹部はやせ我慢だ」と口酸っぱく言われてきました。
訓練でしんどい時、のどがカラカラの時。
決して部下に辛そうな顔を見せてはいけないと教えられました。
部下側の心理として、ついていく気が失せちゃうそうです。
過酷な状態で平然を装うって難しそうですが、意外と意識の問題だったりします。
100km行軍のときの話です。
行軍訓練中は小隊長(30人規模をまとめる長)の役割を10kmくらい毎に交代しながら誰かが務めます。
私もスタートから30kmくらいでやる事になりました。
30kmくらいまでで肩が結構痛くなってきていて、正直
「小隊長なんか務まるのかよ、ましてややせ我慢しながら」と思っていました。
ところが、いざ小隊長役になると
「みんなを引っ張らなければ」とか
「弱ってるところを見せられない」とか。
やせ我慢からくる使命感が体の疲労を忘れさせてくれたのです。
みんなが辛そうにしているところにあえて余裕そうな素振りで接していると、
「自分はできるやつなんじゃないか」なんて優越感も芽生えてきて。
やせ我慢の意識は私の小隊長の10kmを支えてくれました。
小隊長を無事終えて下番するとまたどっと疲労感が押し寄せてきます。
エナジードリンクの効果が切れた感じでしょうか。
部下の精神でやせ我慢しようと思っても無理がありました。
辛い時に辛いそぶりを見せないのも大事だし、逆に辛い時に辛いと言える場所があるのも大事。
後者は最近よく言われますが、前者も組織をまとめる上でとても重要です。
中3の頃、陸上部の練習でいつもきつそうな顔して走ってた自分に言って聞かせたい。