(ちょっと長文です)
あなたは楽器を練習した経験がありますか?
私は小さい頃からピアノを習っていました。
同じ曲を1ヶ月ほど練習して合格をもらっては,また新しい曲を練習して…の繰り返しです。
中学の時にレッスンは無くなりましたが,今でもピアノを弾くこと自体は好きです。
とはいえ,当時習っていた曲をいますぐ弾けるかと言われるとほとんど弾けません。
技術的な話ではなく,覚えていないので楽譜がないと披露できないのです。
代わりに,有名な曲の伴奏なら大抵は即席(なんとなく)で弾くことができます。
楽譜を忠実に再現する難しさと即席で演奏する難しさはまた別なので,どちらがすごいとかそういった比較はできません。
ただ,即席の演奏に必要なものは知識>>>技術>>記憶です。
記憶に依存しないので汎用性が高く,一回わかってしまえばどんな曲でもできてしまいます。
即席の演奏をどうやって身につけたかというと,それはピアノのレッスンを通してではなくてギターの経験によるものです。
ギターで身につけたコード(和音)の知識が,即席演奏では大いに役に立ちました。
一度これに気づいた私は当時,いろんな曲でトライして楽しんだものです。
スタンフォード大の卒業スピーチでスティーブ・ジョブズはこのようなことを述べています。
将来をあらかじめ見据えて,点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかありません。
You can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future.
「ハングリーであれ。愚か者であれ。」ジョブズ氏スピーチ全訳|日本経済新聞
これはジョブズ自身が,大学で学んだレタリックがマッキントッシュのフォントに活きた経験を例に話したものです。
私はこのスピーチを初めて聞いた時,ピアノとギターという点がつながって即席で伴奏が弾けるようになった経験が思い浮かびました。
効率を求めるのは良くわかります。
しなくていいことはしたくないし,やる意味がわからないとやる気も起こらない。
しかしフットワークが軽く,いろんな回り道をしてきた人はそのぶん素敵な開花が待っています(多分ね)。
「〇〇をする意味がわからないからやらない」は正しい一方で,「とりあえずやった人」との差はどんどん開いていくのでしょう。